統合失調症とはどんな病気?
統合失調症は以前は精神分裂病とも呼ばれ、幻覚と妄想を特徴とする疾患です。ただし他の様々な症状が主体となる病型もあり、専門医でも当初から見極めや診断が難しい症例もあります。
統合失調症は凶悪な事件を引き起こすなどの誤ったイメージがありますが、実際にはそのような患者様は少なく、妄想や幻聴の原因と誤解された周囲の方へのクレームや、公共機関への苦情が多い傾向があります。
幻覚の多くは幻聴であり、その幻聴に聞き入ったり、会話したり、非難される、命令されて行動するなどの事があるため、周りにいる人からは奇妙な行動に見えます。
妄想とは周囲の常識的な判断からすると、明らかに誤りの内容を本人が信じてしまい、周囲の訂正も本人が受け入れない内容のことです。
「誰かがいつも自分を監視している」、「組織や特定の人につきまとわれている、妨害されている」、などであり、筋道だった周囲の話しも受け入れません。
うまく例えられませんが、「自分自身の誤った考えを自己修正できず、自分自身を自ら洗脳してしまう」と言えば良いのかもしれません。
当院での診断の進めかた
幻覚や妄想があるから、すぐに統合失調症という診断になるわけではありません。
“うつ”に伴って理解判断力が低下し、そのために幻覚と妄想を伴う場合もあるため、当院では、医学的・統計学的に証明された検査で“うつ(抑うつ)”の有る無しを必ずチェックします。
眼や耳などの感覚器官が低下して事実を誤認している可能性もあるため、症状の内容によっては、聴力検査や視力検査を行う場合もあります。
ホルモンも含めた血液データの狂いによっても症状を発症&悪化させる場合もあるため、採血も行います。
物事の判断の中枢および目や脳の感覚器官の直接のインプット部位でもある脳の異常を確認することも重要です。
当院では脳の異常の有無をチェックするため、脳MRI検査もほぼ必須で行っております。
ご高齢の方の場合には、ある種の認知症の先行症状の場合や、ある時間帯だけ幻覚や妄想を訴え、正常な時には記憶がない“せん妄”という似た症状の時もあり、詳しい問診が欠かせません。
受診にあたってのご注意
周囲の方がご本人様の妄想や幻覚に振り回され、クリニックを半ば強制的に受診させる場合もありますが、ご本人様が悩んでいない場合には継続した治療が非常に困難なケースが多く見られます。
器物破損や乱暴な行動などの触法行為があった場合には、たとえ身内に対しての行為でも、警察などの公共機関への通報や相談を行うことで、受診に繋がる場合もあります。
また本人の自覚がなくとも入院治療が必要であるという診断を専門医(精神保健指定医)が下し、ご家族様の同意があれば、本人の同意がなくても一定期間入院をさせて治療できるという法律もあるため、入院設備が整っている精神科病院に事前相談を行うことで、治療を開始継続できる可能性もあります。
一般的にクリニックで治療継続できる方は、ご本人様自身が症状に振り回され、ある程度病状を自覚できる方が多いようです。
※注:本文は医学的な正確性よりも、分かりやすさや過去の臨床経験を優先して記述しております。