うつ病

”うつ”とはどんな病気?

医学的な“うつ”とは「抑うつ気分(気持ちが沈んで晴れ晴れしない)」and/or「興味または喜びの喪失」があり、日常の仕事や社会的活動に困難を感じることが長く続き、日常生活や社会生活に支障をきたす状態を指します。このような状態に加えて不眠(過眠)、意欲低下、食欲低下、疲労感、判断力低下、死を考えるなどの気持ちや症状が伴う場合があります。
現在、様々な診断基準がありますが、医学的な”うつ”のうち、他の身体疾患やこころの疾患の影響で症状がでている場合をうつ”状態”、そのような原因があっても非常に重い病状の時や、思い当たる事がないのに症状が出現する場合をうつ”病”と区分して考えるのが一般にはわかりやすいようです。

一般的な”うつ”には、医学的な”うつ”に加えて失恋、失敗、事故、死別などで一時的に症状が出現した場合や、抑うつ気分はあるが日常生活に支障がない状態も含めて広く”うつ”という言葉を使う場合が多いため、言葉の範囲を区別していく必要があります。
最近では非定型うつ(過眠、過食、特定の物事に対する意欲低下、他罰的など)と呼ばれる病態もあり、確かに患者様の中では当てはまる方もいらっしぃますが、これは正式な診断名ではなく、うつ”状態”を伴う何等かのこころの病気として分類される可能性もあり、ここでは割愛します。

またDSM-ⅣーTRというアメリカで採用されている診断基準に一致すれば、すべてうつ”病”として安易に治療を開始したり、ご自身で”うつ”と決めつけたりするような状況が増えているように感じます。
正式には
①診断基準に一致しているので”うつ”があるようだ(アメリカではうつ”病性障害”とまとめます)
②他に性格、身体疾患、家族内や社会的なストレス、日常生活への支障度の評価を行い、
③他の疾患の診断基準の方が、より適切ではないかを確認(鑑別診断といいます)
を行うという手順が必要です。
”うつ”と診断される場合は共通の症状があること、”うつ”に対するお薬や治療法に大きな相違がないことより考えられたとすると非常に合理的な診断法ですが、「この基準ならばうつ病」というように、マニュアル的に安易な使用をしないようにする必要があります。

当院での治療方法

”うつ”の治療で一番大切なのは休息です。
その上で抗うつ薬を使いながら、ご自身の症状に併せて抗不安薬、睡眠導入薬等を使用していきます。
どの程度休むか、どの部分を休むかは病状とご自身の環境に応じて一緒に考えていきます。

体や脳の疾患が原因の場合もありますので、年齢、性差、家族歴などから身体疾患および脳疾患の検査を行います。
ホルモンバランス等の血液異常や、脳MRIでの脳疾患の有無を確認していく事が主となりますが、当院では殆どの検査を施行可能です。
うつ”状態”を伴うこころの病気は多岐にわたりますので、専門医でキチンと診断頂く必要があります。

ご来院いただいた後の注意点

・症状が良くなったと思い、患者様の判断で薬を飲むことを止めてしまったために、ふたたび症状が重くなってしまうことが良くあります。
飲んでいただく薬の種類・量・期間は患者様の状態を見極めた上で調整していますのでお守り下さい。

”うつ”の方は「周りに迷惑をかけるから」と、休むことに罪悪感を感じて休息をとりたがらず、無理をして自分の任された事を果たそうとがんばりつづけます。
でも実際にはご自身が悩んでいる顔をみたり、仕事の能率が上がらない様子を見て、周囲の方が既に”うつ”に気づいている場合も多くみかけます。
”うつ”ならばどんな声かけをしたら良いかわからないため、周囲から声をかけることができないのです。
無理を押して頑張り続けると病状は次第に重くなり、仕事や家事が全くできない、場合によっては入院という事態にまで進む場合があります。
早めに休息をとり、こじれないように早めに治療を始めるのと、がんばり続けて次第に病状が重くなり、家の事や仕事が満足にできない期間が長く続くのと、一体どちらが周りに迷惑をかける事になるでしょうか?
だからこそ、しっかりと心と身体を休めてください。
「○○をすればきっと良くなる」などと理屈づけた気分転換は避けてください。
休息する時は「やりたいな」、「やってもいいかな」と思う事以外は、仕事でも家事でも無理をしてやる必要はありません。
ゆっくり好きな事をする、嫌な事はやらない、眠いならば寝たいだけ寝る、自分が好きな物を食べるのが治療の初期において重要です。
殆どの人はキッチリとした休息と、適切なお薬の継続で症状が緩和される可能性があります。

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