認知症ってどんな病気?

五感で感じ(知覚)、覚えて(記憶)、学んで(学習)、考えて(思考)、決める(判断)ような知的な機能を認知機能と言います。

これらの能力が脳細胞の変性によって障害され、日常生活に支障をきたす病気を認知症と言います。

認知症はアルツハイマー型、脳血管性、レビー小体型、前頭側頭葉型(ピック病)などの認知症が挙げられますが、最も多いのがアルツハイマー型です。

アルツハイマー型では 記憶障害や見当識障害(時間・場所・人物などの誤認)で気づく場合が多く、次第に進行して最終的に認知機能全般の障害になります。

認知症に伴って幻覚・妄想、徘徊、異常な食行動(異食症)、睡眠障害、抑うつ、不安・焦燥、暴言・暴力などを見る場合があり、これを周辺症状(辺縁症状、BPSD)と呼びます。

また、記憶障害(物忘れ)はあるが日常生活に支障はなく、かといって認知症ではないという境界領域にある状態を軽度認知障害(MCI)と呼びます。軽度認知障害と診断された方の50%は5年後にアルツハイマー型認知症を発症したと言われており、早い段階での診断と対処が認知症の発症を遅らせると言われています。

認知症は一般的なもの忘れと混同されがちですが、もの忘れはある出来事のうちの一部を忘れてしまうのに対して、認知症では出来事があったという事実そのものを忘れてしまいます。

また、もの忘れは助け船をだすと出来事を思い出すのに対し、認知症では助け船をだしても思い出せないなどの典型的な違いがあります。

例えば久しぶりに孫にあって名前が思い出せないという時に、周りから「孫の○○ちゃんだよ」と言われると、すぐに思い出すのが加齢に伴うもの忘れに対し、「孫の○○ちゃんだよ」と言われても怪訝な顔をしたり、「そんな人はいただろうか」というような言動や行動が見られた場合は、認知症の可能性が高くなります。

他にも幾つかの認知症がありますが、それぞれに特徴的な経過や症状があり、問診や検査から総合的に認知症か否か、認知症ならどのタイプかを専門医は診断していきます。高齢者の”うつ”や統合失調症などでは認知症と似たような症状から発症する場合がありますので、これらの病気との鑑別診断も重要になります。

当院での診断の進めかた

認知症の診断は、明らかに進行している状態でない限り、脳MRIや認知症検査のみだけでは正確な診断はつきません。

当院では以下のような流れで検査を行い、より正確な診断が行えるように心がけております。

・感覚器官に異常はないか? ⇒ 視力検査、聴力検査

・症状に“うつ”が関与していないか? ⇒ “うつ”のチェック

・血液データの乱れが症状をだしてないか? ⇒ ホルモンも含めた採血

・脳自体の病気や異常はないか? ⇒ 脳MRI

・認知症ではなく、他の精神疾患の可能性は? ⇒ 詳しい問診

・改訂長谷川式簡易知能評価スケールの実施 ⇒ 上記のいずれも関与が薄い

受診にあたってのご注意

本人に受診する気持ちが乏しい状況で、ご家族様が無理に診察に連れてくる場面もございます。認知症疾患においては、本人からお話を伺ったり、患者様ご自身が検査にご協力頂けないと、正確な診断がつかない場合も多いのが事実です。

それに対して「私たちが何とか頑張って連れてきたのだから、後は先生の方でうまく説得して診察してください」と突然お話をされるご家族がいらっしゃいます。

ご本人様が受診する気持ちが乏しい場合には、ご家族様だけ事前にご来院の上での医療相談や、「どういう理由で受診させようか?」などのご相談も承っておりますので、あらかじめお問い合わせの上でご来院頂きますようお願い申し上げます。

事前相談の際の受付時間は初診の方と同じになりますので、ご了承ください。

またご家族様の医療相談の際には患者様自身の健康保険証、およびご家族様の身分証明書(運転免許証などの顔写真つきに限ります)をご持参頂くよう、お願い申し上げます。

※注:本文は医学的な正確性よりも、分かりやすさや過去の臨床経験を優先して記述しております。

アクセス・診療時間

お問い合わせは019-662-7533まで

診療時間

からだと脳の初診の方、3か月以上当院を受診されていない方の受付は終了時間の1時間前となります。 メンタル系や心療内科で初めて受診される方は、最低限でも3時間ほどのお時間が必要になりますので、お早めにご来院ください。

岩手県盛岡市山岸3-2-1 山岸中央ビル
列車でおこしの場合:JR山田線山岸駅近く
バスでおこしの場合:岩手県交通 松園山岸線 紅葉ヶ丘団地前よりすぐ [ナビタイムでバス路線図を見る]
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